うわの空病

ヲタクがこねくりまわすブログ

AKB48と日本語文化について

AKB48現代日本の文化や言葉に与えた影響について時々考える。専門家でもないのでそんな大仰な話ではない。

たとえば「総選挙」。もちろん政治の言葉としてもともと使われてた言葉だけど、今みたいな政治とは全く関係のないコンテンツの人気投票の意味で使われるようになったのはいつからか。私の記憶・感覚では、(当時AKB48オタクではなかった)2010年の第二回AKB48選抜総選挙がメディアでたくさん取り上げられて「前田か大島か」みたいな話がアイドルオタクじゃない私にも届くくらいに騒がれていて、その後も2018年まで毎年行われた「総選挙」はすっかり「人気投票」の意で使われる言葉になった。「文房具総選挙」とか「カレー総選挙」とかそういう感じ。

「推し」という言葉もある。多分、イチオシのアイドルに対して「推しメン」という言葉を使うことはAKB48以前からあったんじゃないかと思うんだけど(辞書つくってる偉い人のそういうツイート見た)、その概念(「推し」という言葉で「好意」を表すこと)を広めたのがAKB48とそれを取り上げたメディアなんじゃないかと思う。2010年代前半は「推し」とは「推しメン」のことだったけど(「AKBで誰が好きなの?」「麻里子様推しです!笑」みたいな)、2021年現在それはアイドルにとどまらず役者さんやスポーツ選手、youtuber、二次元のキャラクター、何なら動物とかゆるキャラとか食べ物とか、「その人が好きな何か」の全般に使われるようになってる。「推しのいる生活」「推し活」みたいな。アイドルオタクがアイドルに対して使ってた「推し」と、現在の「推し」ではニュアンスが細かく違ったりするんだろうなと考えると面白いよね。

あと「神対応」「塩対応」とかもわりとこういう話題の時に挙げられる言葉だと思う。個人的に気になってるのは、そもそもの「神」という表現について。多分AKB48が結成する前からネットで頻繁に使われてた流れでの「神」だと思うんだけど、私の人生ではそれをメジャーシーンで堂々と使ってるのを初めて見たのがAKB48だった。というのも当時まだアイドルオタクではない私はAKB48のアルバム「神曲たち」というタイトルを見て、「なんか恥ずかしい」と思った。電車男のドラマを家族で見るみたいな気持ち。しかも「(古いイメージの)アキバ系!」みたいな感じではなく当時もうオタク層以外の若い子たちにもウケてたアイドルのアルバムで、若い子が「アキバ系!」な感じじゃないものとして好きみたいな感じなのが軽く衝撃だった(言うて自分も当時若かったけど)。AKB48オタクになってから、それより前にも「ロマンス、イラネ」という曲をリリースしてることを知ってなるほどねとなったのも覚えてる。

 

こういう話を考えるのが好きでちょっとした時に気づいて、私の大好きな第10回世界選抜総選挙での横山由依さんのスピーチ皆さんの日常に寄り添えるグループでいられるように」を思い出してる。